NEXT WEEKEND TO SENDAI 週末仙台

羽生結弦が歩く仙台

僕とスケートと仙台と。

写真/川島小鳥

ほっとする場所思い出が彩る
地元仙台・のんびり散歩

生っ粋の仙台っ子である羽生結弦さん。
“異次元”と形容されるほど圧倒的な強さを見せる
フィギュアスケーターとして、世界を飛び回る今も、
故郷で過ごす時間はかけがえのないものだと言う。
羽生さんを育んだ街、その魅力をご本人がナビゲート!

Photograph:Kotori Kawashima / Styling:Shotaro Yamaguchi /
Hair & Make-up:Takeshi(SEPT) / Text:Mayumi Yawataya

七北田公園

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トレーニングや学校行事など、小さい頃の羽生さんがよく訪れていた公園。「アスレチックの設備が面白くて、楽しいんですよ。今でもやりたいぐらい。『絶対に走って登ってやる』と、滑り台の登頂に成功したり(笑)。野外活動でザリガニも捕りましたね」夏の「ふるさとまつり」では、七北田川の河川敷で約4500発の花火が夜空を彩る。

※市北部、七北田川沿いにある総合公園。大型遊具のある「わんぱく大地」や泉ヶ池、芝生広場といった憩いの場のほか、野球場、テニスコート、サッカースタジアムなどもある緑豊かな一帯。

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“杜の都”と言われるように、自然との融合も感じられるし、ごちゃごちゃしていなくて、おおらか。ゆったりした空間のある街なんです

LOVE♥ずんだもち

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「ずんだもちはお店によってそれぞれの味があって、めっちゃ好きなところがあるんです。仙台に帰ったら、おやつによく食べてます」ずんだもちに加え、笹かまぼこや牛たん焼きといった仙台名物も大好物。「東京などに移動するときは、ほぼ牛たん弁当。これにもお気に入りの銘柄があって(笑)。あと仙台はやっぱり海の幸が豊富ですね」

ずんだもち、大好きです。移動のときは牛たん弁当。〝食レポ〝みたいですね( 笑)

五色沼

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仙台はスケート競技が盛ん。気候変動の影響で今は見られなくなったが、かつては冬になると池などが凍り、市内随所に天然の屋外スケート場ができていたとか。「この五色沼は、国内のフィギュアスケート発祥の地と言われているそうです。自由研究で調べた時に初めて知りました。僕たちスケーターにとって、特別な場所なんです」

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〝羽生さんにとっての仙台〝を案内してもらったのは、2015-16年のシーズンに集中する直前のこと。その後私たちは、NHK杯(’15年11月)、GPファイナル(同12月)と神々しいまでのパフォーマンスで、その都度、世界記録を大幅に更新するという彼の〝伝説〝を目撃するのだが、この仙台での一日では、とてもリラックスした表情を見せてくれた。

「仙台は〝帰る場所〝ですね。今、拠点にしているトロントは僕にとって、スケートの練習をするためにいるっていう位置づけですが、仙台に帰ってきたときは、もちろん練習もするしスケートから離れるわけじゃないんですが、ほっとする居場所があります。家族が揃うから安心もできるし。家とリンクとの往復時に車から見る景色だったり、地元のお店、街中の緑に、『ああ、帰ってきたなぁ』とよく感じてます。仙台って、都会の忙しさがあまり表に出てない街なんです。〝杜の都〝と言われるように、自然との融合も感じられるし。街でありながら〝こちゃこちゃ〝してなくて、おおらかで。ゆったりした、空間のある街だと思います」

昔から仙台はスケートが盛ん。フィギュアスケーターにとって特別な場所が『五色沼』です

音楽を聴いたり、ゲームをしたり、オフはもっぱらインドアで過ごすというが、家族でよく遊びに行った市北西部の定義如来(じょうぎにょらい)の参道や、夏の風物詩「仙台七夕まつり」、祖父母やいとこも一緒に大勢で訪れた秋保温泉など、子どもの頃からの仙台の思い出は彩りが豊かだ。
「8月の七夕まつりは、本当にきれいですよ。七夕飾りは同じようなシルエットに見えますが、ひとつひとつ、作った人たちの想いが詰まったものなので、ぜひ見てもらいたいですね。最近はトロントでの練習などの時期と重なるので行けないんですけど、小さい頃は家族で絶対に行く夏休みのイベントでした。毎年、全然違った雰囲気なんです」

ケヤキ並木に遊歩道のある定禅寺通も、市内の見どころのひとつ。60万個のイルミネーションが幻想的な12月の「SENDAI 光のページェント」の時期は、特におすすめとも。「仙台は『居心地が良くて、安心できる』っていう言葉に尽きます。故郷って、誰にとってもそういうものなんだと思います。自分が生まれ育った場所だから落ち着ける。僕にとってはそれが仙台。この街の空気感がいちばん心地よくて、いちばん落ち着けるんですよね」

故郷を大切に思う気持ちは、先の大震災の被災者と語らう中でより強く意識するようになったことだ。
「復興の応援で福島に行ったとき、仮設住宅で暮らす方々の思いをたくさん伺いました。そういう状況がある中で、自分がこうして仙台に帰ってくることができる。その時間を大切にしたいとすごく思います」

2014年のソチ五輪で金メダルを獲得した際など、羽生さんは折に触れ、復興のメッセージを発信し続けてきた。自身も練習中にリンクで被災し、避難所で過ごした経験を持つ。
「家族が離れ離れだったので、心配もありました。でも、そういうときだからこそ家族の絆をとても感じたし、地域や近所の方々、学校やスケートの先生方の協力や優しさを知るきっかけにもなりました。人間の温かさを、ひときわ感じました」
現在の仙台は、新しい地下鉄が開業するなど、活気溢れる街の新たな顔が生まれている。でもやはり、忘れてはいけないことも。
「思い出したくないという方もいらっしゃるし、デリケートなことだと思います。でも例えば、戦後70年が経って、実際に戦争を体験した語り部が減り、その話を映像に収めるってことがされていたりするじゃないですか。この震災も、年齢や環境の違う人たちが、それぞれの立場で経験したからこそ感じたことがあって、その個々の経験を大切にしなきゃいけないんじゃないかなと思うんです。僕も、せっかく人気のあるスポーツで、オリンピックの金メダルを獲ったことで注目を浴びるようになったんだから、少しでも語り継ぐことができれば。金メダリストとしてできることがあるんじゃないかなと思ってるんです」
その前人未到の活躍ぶりや芯の通った発言を見聞きしていると、つい年齢を忘れてしまうのだが、羽生さんは現在21歳。ジュニア時代から公に発言する立場にあったとはいえ、インタビュー時の真摯な姿勢には、ある種の覚悟すら感じられる。

「情報は洪水のように溢れてるけど、その中でも言葉ひとつひとつを大切にしていきたいんです。ネットや雑誌に掲載される記事も、何十年も残そうと思えば残せるものだし、受け継ごうと思えば受け継げるものだから。こうして言葉を発するときは、本当に大切に語らなきゃというふうに思っているんです」
ひとつひとつを大切に。その集積がどれほどのパワーを持って、人々の心に響くかは、羽生さんのパフォーマンスを見ればわかるだろう。そして、そのフィギュアスケートとの出会いをもたらしたのも、仙台。
「かつては冬になると、市内の至るところで氷が張って、屋外スケートが身近にできていたそうです。スピードスケートやショートトラックなどの競技も盛んでした。諸説ありますが、日本のフィギュアスケート発祥の地は仙台だと言われているんです。ただ今は、東北にはアイスリンクが仙台と、新しくできた盛岡と、2つしかなくて、スケート界としては大変な状況なんです。かつて荒川静香さんや宮城県の協力に僕が助けてもらったように、フィギュアスケートをやりたいという人がもっとリンクで滑れるようになる活動を、少しずつでもできればと思っています」
他者への思いやりに無邪気な笑顔、そして、リンクの上での気迫に満ちた情熱的な姿。それらはアスリートとして、また人として多くの人を惹きつける。またこの数年は、〝強さ〝をも増しているよう。
「毎年、違った意味での強さを手に入れていると思うんですが、去年は怪我をした期間が長かったですからね。どんなスポーツでも、勉強でも、家族の支えがないとできないことにスケートを通じて気付かされました。僕の家族は本当に仲が良いんですよ。『支え合うからできる。それが人間なんだ』ということも、フィギュアスケートの中で経験できたことです」
震災で電気を失った夜、七北田公園で家族と見上げた星空が、とてつもなく美しかったという逸話も教えてくれた。羽生さんを育んだ仙台。そこを訪れる人たちは、どんな自分の物語を見つけるのだろう。

国際センター駅

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2015年12月に開業した仙台市地下鉄東西線の駅。駅舎2階からは、広瀬川と青葉山の緑豊かな風景が広がる。〝青葉城〝とも呼ばれる仙台城跡の最寄り駅。「伊達政宗公の銅像はありますが、お城自体はないんです。でも、そこから見る夜景はきれいですよ。昼間も街並みが見渡せて、仙台が〝杜の都〝と言われる所以がわかると思います」

※駅周辺には仙台の国際交流や学術文化振興の拠点「仙台国際センター」、「仙台市博物館」、「仙台城跡」などの歴史・文化関連施設がある。仙台駅から4分。

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羽生 結弦
YUZURU HANYU

1994年12月7日、仙台市生まれ。4歳でスケートを始め、2010年に世界ジュニア優勝。’12年、世界選手権銅メダル獲得後、トロントに拠点を移す。ソチ五輪で日本男子初の金メダル。今季は昨年11月NHK杯、12月GPファイナルで、SP、フリー、総合得点の世界記録を続けて更新し、前人未到の領域へフィギュアスケートを進化させた。仙台観光アンバサダーも務める。

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  • 追加配布の予定は、日程と店舗が決定次第、随時ホームページで告知しますのでお待ちください。
  • 配布店舗・施設への配布に関するお問い合わせは、通常業務の妨げになりますので、お控えください。
  • WEB配布につきましては、多数の応募をいただいていることから、一次募集の郵送部数を拡大するとともに、受け付けを4月22日(金曜日)13時までに変更いたしますので、ご了承願います。なお、5月25日ごろから二次募集の受け付けを開始いたします。
  • 「週末仙台」に関するお問い合わせは、特設WEBサイト(http://www.sendai-weekend.com/)の情報をご確認いただくか、仙台市文化観光局観光課(電話/022-214-8260)までお願いいたします。
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